経営計画事例 Example
経営計画策定をきっかけに念願の上場を達成!
| 本店所在地 | 東京都 |
|---|---|
| 業種 | 人材派遣及びアウトソーシング |
| 年商 | 140憶円 |
| 資本金 | 13憶円(ジャスダック上場) |
| 従業員数 | 約300名 |
人材派遣、アウトソーシング会社のA社は、大手流通企業出身である現社長が、メーカーのマーケティング活動の支援を目的として1987年に設立された会社です。関与税理士の変更を要望されていたため、取引銀行からの紹介により、当事務所は設立8期目から会計税務顧問として関与させていただいています。
利益管理の徹底と経営の意思決定をサポート
上場を果たすこととなったA社では、初期より毎月社長が営業会議を実施し、売上及び利益獲得へ向けたリーダーシップを発揮しておりました。 営業会議では、成果を部門ごとに把握し、各メンバーの成績や役割と責任を明確化することが重要であります。 予算や目標との乖離を把握し、よければさらに効率化が図れるよう、悪ければ利益獲得へ向けた経費の削減や売上の強化策が検討され、 実行されなければなりません。 特にアウトソーシング会社であるA社の場合は、売上と売上原価を正確に対応させ、粗利を正確に把握することが重要でありました。
営業会議の資料はA社営業部で作成されておりましたが、当事務所では、 経理担当者の指導を行って毎月10日をメドに月次の会計報告書の作成を行っていました。 誤解を恐れずに言うならば、営業会議に使用するための数値ならば、多少のズレがあろうとも、月の前半にその数値を把握し、 経営に活かすことの方が重要ですが、税務会計上の数値は、少々報告は遅くても、正確な数値を記録し、 最終的に決算の時点で正確な会計帳簿と決算報告書及び税務申告書が作成されればよいとも考えられます。
A社の社長がすばらしかったのは、営業会議の報告数値が実際の会社の経営成績を表す会計報告と一致しているか検証を行っていたことです。 特に、実際の利益率が見積もり利益率と一致しているかについては、請求漏れがないか、請求書が誤って発行されていないか、 売上高とスタッフ給与の対応が正確かどうか等の観点から、慎重にチェックを行っていました。 毎月の正確・迅速な月次報告書は、あるべき会計数値と報告値が異なった場合に 何かがおかしいと気づく経営者の「鋭い感」を検証するために欠かせない資料であったようです。
金融機関からの信頼を獲得し資金調達が円滑化!
企業は日々の運営の中で、また成長のプロセスの中で、いろいろな設備投資や運転資金の補填を行っています。その資金を有利に調達するために、銀行等の金融機関から信用を獲得することは重要であります。そのためにまず必要なのは、財務バランスのよい財務諸表を作り上げること、特に自己資本を充実させることが大切です。自己資本を充実させる方法のひとつに、内部留保額を厚くすることがありますが、内部留保を厚くするためには、獲得した利益の中から法人税等を支払う必要が生じます。ムダな税金は1円たりとて支払う必要はありませんが、企業を健全に運営しようと考えるなら、短期的・短絡的な節税(多くは納税の先送り)ばかりを考えるのではなく、適正な税額を支払い社会的な信用を得てゆく方が、総合的に、そして長い目で見ると得策であると考えられます。
今回の事例A社では、財務諸表の改善に3年程度を要しました。
苦労もいたしましたが、財務諸表の数値が改善されてくると、副次的なメリットとして、金融機関から有用な情報も入ってくるようになりました。
経営計画の策定を通じ、上場を決意!
会社の財務内容が改善され売上規模が10億円を越えてきたころ、今後の事業の展開を描くための中期経営計画の作成をお勧めしました。 順調に毎期利益を計上し、自己資本も充実してきたため、社長が今後の会社の方向性、 目標をどのように考えているのかを伺い将来の事業計画のシミュレーションを行う必要がある時期である旨を伝え、 中期経営計画の策定を一緒に行いました。
私どもで行う中期経営計画の作成は、社長(場合によっては社長と幹部)が私どもと質疑応答を繰り返す中で問題点を整理してゆく手法 (いわゆるコーチング)のプロセスを踏みながら、作成されます。
そこで社長は念願だった上場を目標にしたいと決められました。この計画の策定によって、社長は夢だった上場が、 達成できる位置に近づいていることを実感されたようです。 実際の計画として目標が明確化されたときがまさに、上場のスケジュールを具体化する位置に立った瞬間だったのでしょう。
上場へ向けた会計・税務をサポート
早速、監査法人をA社に紹介して上場が実現性のあるものなのかどうか、具体的に検討してもらうことにいたしました。
株式公開に当たっては会社の財務諸表が適正である旨を専門家から証明していただかなければなりません。その役割を担うのが公認会計士や監査法人です。監査法人との監査契約前に必ず行わなければならないポイントとなるのが「ショートレビュー」といわれる予備調査です。
監査法人は、最初に会社の状況を理解し、上場に向けての課題を把握するため、会計帳簿や経営管理資料の閲覧、会社担当者へのヒアリング等を行い、業務フロー、諸規程、会計制度、資金管理等、経営管理体制全般の調査を行い、公開に相応しい管理体制になっているか、問題点は何かを指摘し報告書にまとめます。
「ショートレビュー」にあたっては、会社担当者と共に事前の資料準備、ヒアリング等の立会、監査法人への対応等を担当し、監査がスムーズにおこなわれるようサポートいたしました。このような会社の場合、多くのご担当者が、外部からの監査を初めて受けることになります。緊張のため説明がうまくできなかったり、聞き慣れない専門用語へのとまどいから質問の意図を正確にくみ取れなかったり、予測できなかった様々な障害により業務の進捗に支障が生じたりして参ります。そうした、障害を取り除き、会社、監査法人双方が仕事を円滑に業務を進められるよう橋渡し役となるのが、顧問税理士としての役割です。
公開は、この予備調査の結果を受けて、その後のスケジュールが具体的にひかれます。幹事証券会社の選定、資本制政策の策定、事業計画の見直し、内部諸規定の整備、早期月次決算体制の構築等、ひとつひとつを上場企業の基準に合致した水準に引き上げる作業が始まりました。
IPOにおいて、資本政策は最も重要です。税理士は長年に渡りオーナーサイドにたって仕事を進めておりますので、資本政策についても助言を求められます。また、経理システムの構築については、その時点ではまだ当事務所が記帳代行を行っていたため、自社内で経理を行う体制への移行へ向けて、指導を行いました。はじめは、心許なかったスタッフもやがて熟練し、月次決算の精度もドンドン高まってまいりました。その後も現在に至るまで、監査法人と会社との間の調整役を求められることも多くあり、スムーズに業務が進行するための潤滑油として、コミュニケーションが円滑に進むように配慮いたしております。
成長に合わせた経理システム構築をサポート
公開後も財務経理の仕組みは、開示内容(IR)の適正性化等の観点などから、上場企業としての質とスピードが求められます。
A社では、当初は管理部門の部長が不在であったため、経理課長以下の経理担当者に当事務所より密接な指導を行っていました。 また、経営企画室と共に、監査法人対応、証券会社対応など、公開会社に求められる適正な財務諸表の作成、開示を行ってまいりました。 私どもにとりましても、これは初めての経験で、勉強させて頂きながら対応をさせて頂きましたが、大変によい経験になったと感謝致しております。
規模が拡大するにつれて行われる組織再編等、そのため生じるシステムの統合や変更等、 何千人もいる派遣社員に対するスタッフ管理システムや給料の支払を、正確・迅速に行うための給与システムの移行、 財務システムの変更等にあたっての準備作業など、システム構築のお手伝いもさせていただきました。
A社のこうした成長のプロセスの中で、私ども高田事務所も多くのことを学ばさせて頂きました。 また、上場企業の社長というお立場になられた今も、社長には懇意にしていただいています。重ね重ね、深く感謝申し上げる次第であります。

