Q 消費税の申告方式に原則課税と簡易課税があります。選択する場合、どのような点に注意すればよいでしょうか?
A 2つの課税方式は消費税額の算出方法が異なるため、同じ収入、支出があった事業年度でも消費税納税額に違いが生じます。実際にシュミレ-ションをして比較すべきでしょう。また、簡易課税方式は、事務処理作業が原則課税方式に比べ軽減されます。選択の際にはこの点も考慮して下さい。
<解説>
1.原則課税
原則課税方式は1年間に預かった消費税額(仮受消費税)から、前払いした消費税額(仮払消費税)を差し引いて納税する方式です。前払いした消費税の方が多ければ、還付となります。 なお、期日までに次に挙げる簡易課税方式の届出を、税務署に提出しなかった場合、全ての消費税課税事業者はこの方式が適用されます。
消費税の申告方法を選択する注意点は?の続きの記事を読む
Q息子に事業承継を考えています。税務上どのような点に注意すればよいでしょうか?
A ご子息へ事業承継を行う場合、株式や事業用の資産を後継者であるご子息へ移行していくことになります。その際に考慮しなければならないことは、(1)自社株式や事業用の資産の移転に伴う相続税や贈与税の対策と(2)後継者以外の相続人への財産移転にも配慮して相続人間のトラブルが起きないようにすることが重要です。
<解説>
1.自社株式・事業資産の承継
中小企業においては、オーナー経営者が会社を創業して発展させ自社株式のほとんどを所有し、また 経営者個人が所有している不動産を会社の事業の用に供しているといったケースが多くあります。
事業承継とはこの会社の経営(経営権)と自社株式・事業用資産(財産権)を後継者に承継することです。そして「いつ」「誰」に「どのように」承継させていくのかを考えていくことが事業承継対策となります。
息子に事業承継をしていく場合に注意することは?の続きの記事を読む
Q 事業に使用するためにパソコン等を購入した場合、税務上一時期に全額経費になるのでしょうか?
A 事業に用いられる資産を購入した場合、現金を支払った一時期に全額損金(税務上の費用)処理できるものと、できないものがあります。
<解説>
1.減価償却の概要
企業が、継続的長期にわたって使用する目的で所有する資産を、固定資産といいます。そのうち使用又は時の経過によって、その価値が減少する資産を減価償却資産といいます。
減価償却資産の取得に要した金額は、たとえ少額であっても、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり費用配分していくべきものです。
減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を、一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続です。税務においては、この使用可能期間に当たるものとして、法定耐用年数が定められ、償却方法についても一定の制限を行い、損金に算入できる償却限度額を定めています。
しかし、少額な減価償却資産についてまで、長期にわたり償却計算を行ない、管理していくことは、企業にとって煩雑で手数がかかるため、少額な減価償却資産については、一時に損金処理できるよう認められています。
2.税法上の一時期に損金処理できる基準
パソコン等を購入した場合の経理処理は?の続きの記事を読む
Q 全従業員へ参加希望者を募り、慰安旅行を計画しています。会社が負担する費用は「福利厚生費」として経費になりますか?
A 社会通念上一般的に行われている範囲内の慰安旅行であれば、福利厚生費として損金(税務上の経費)になります。
<解説>
会社が負担する従業員の旅行費用は、会社が経済的な利益を従業員に与えたことになり、給与とされます。但し、社会通念上一般的に行われている範囲内の慰安旅行であれば、給与ではなく、福利厚生費として扱われます。その場合、社会通念上一般的か否かの判断は、具体的には下記に示す基準によります。
会社が負担する慰安旅行の費用は福利厚生費?の続きの記事を読む
Q 店舗の内装を100万円かけて行いました。工事代金は修繕費として経費になりますか。
A 原則として内装工事に要した費用は、修繕費として支出した時に経費として認められます。しかし固定資産の価値を高め、又は使用可能期間を延長させる部分の支出については、固定資産の取得費に計上して減価償却の手法により費用化します。
<解説>
1.繕費と資本的支出の考え方
固定資産の修理改良などを行った場合に支出した費用には、2つの側面があります。固定資産の通常の維持管理や原状回復のために要する支出、一方で固定資産の価値を高めること、又はその耐久性を増すことで使用期間を延長することになると認められる支出です。税務上は前者の支出を修繕費、後者の支出を資本的支出といい、修繕費については支出時の費用、資本的支出については減価償却の手法で耐用年数にわたって費用処理します。
2.形式的な判定基準
修繕費と資本的支出の考え方は上記のとおりですが、実際にはその区分は難しく簡単には区分できません。そこで税務では次のような形式的基準が示されていて、これに基づいて区分しているときはその処理を認めています。
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